
ハーレーのタンクアップに興味はあるものの、「ダサい」という評価が気になり、一歩を踏み出せないでいる方もいるのではないでしょうか。確かにタンクアップはハーレーの個性を際立たせる人気のカスタムですが、やり方一つで全体のバランスが崩れてしまう繊細なものでもあります。
この記事では、なぜハーレーのタンクアップがダサいと言われてしまうのか、その本当の理由を掘り下げます。単なる見た目の話だけでなく、カスタムのメリットやデメリット、さらには車検や工賃、費用といった現実的な問題まで、あらゆる角度から徹底的に解説します。
また、失敗しないためのタンクアップキットの選び方から、カスタム後の整備やメンテナンスの重要性に至るまで、あなたが理想のスタイルを実現するために必要な知識を網羅しました。この記事を読めば、タンクアップへの不安が解消され、自信を持ってカスタムに臨めるようになるはずです。
- タンクアップがダサいと言われる具体的な原因
- メリットだけでなくデメリットや安全性の注意点
- 失敗しないタンクアップのやり方とパーツ選び
- 車検や費用、メンテナンスなど現実的な知識
ハーレーのタンクアップがダサいと言われる理由
- そもそもタンクアップする理由とは?
- 見た目のメリットとカスタム効果
- 実用性や見た目のデメリット
- タンクアップで問われる安全性
- 48タンク容量アップは実用的か?
そもそもタンクアップする理由とは?

ハーレーのタンクアップを行う主な理由は、バイクの見た目に大きなインパクトを与え、オーナーの個性を表現することにあります。燃料タンクを通常の位置から持ち上げることで、バイク全体のシルエットが大きく変わり、唯一無二のスタイルを創出できるのです。
特に、エンジン周りのメカニカルな部分がより露出する点が、多くのライダーを惹きつけます。ハーレーの象徴ともいえるVツインエンジンの造形美が強調され、無骨でクラシカルな雰囲気が一層際立ちます。これにより、ノーマル車両とは一線を画す、アグレッシブな印象を与えることが可能になります。
例えば、フレームのラインとタンクの底辺が平行になる「フレームラインに沿わせる」スタイルは、チョッパーカスタムの定番です。タンクとフレームの一体感が高まり、流れるような美しいシルエットが生まれます。
このように、タンクアップは単にタンクの位置を変えるだけでなく、バイク全体のデザイン思想を表現し、オーナーのこだわりを形にするための重要なカスタム手法なのです。
見た目のメリットとカスタム効果

タンクアップがもたらす最大のメリットは、やはりその外観のカスタム効果にあります。燃料タンクをリフトアップすることで、バイクのシルエットは劇的に変化し、視覚的なインパクトは絶大です。
まず、エンジン周りの空間が広がることで、エンジンの存在感が際立ちます。クロームメッキや黒く塗装されたエンジンフィンがより多くの光を受け、その機械的な美しさを存分にアピールできるようになります。これは、ハーレーの持つ「鉄の塊」としての魅力を最大限に引き出す効果があると考えられます。
また、タンク下の空間を利用して、配線類をすっきりと整理する「ワイヤータック」や、イグニッションコイルを移設するカスタムとの相性も抜群です。これらのカスタムを組み合わせることで、より洗練されたクリーンな見た目を実現できます。
さらに、タンクの角度や高さを変えることで、バイクの印象を大きくコントロールすることが可能です。高く、鋭角に持ち上げればより攻撃的なチョッパースタイルに、少しだけ持ち上げればオールドスクールなボバースタイルに、といった具合に、オーナーの目指す方向性に応じて多彩な表現ができます。
実用性や見た目のデメリット

魅力的なカスタムである一方、タンクアップには無視できないデメリットも存在します。これらを理解しないままカスタムを進めると、後悔につながる可能性があります。
見た目のバランス崩壊
最も大きなデメリットは、全体のバランスが崩れて「ダサい」印象になり得ることです。タンクだけが不自然に持ち上がり、フレームやシートとの一体感が失われると、まとまりのないちぐはぐな見た目になってしまいます。特に、タンク下の配線処理が雑だと、せっかくのカスタムも未完成でだらしない雰囲気を与えかねません。
実用性の低下
実用面では、まず燃料タンクの有効容量が減少するケースがあります。タンクに角度がつくことで、燃料計が満タンを示していても実際には全容量を使えず、給油のタイミングが早まることがあります。長距離ツーリングを主とするライダーにとっては、大きな不便を感じる点かもしれません。
さらに、車体の重心が高くなることもデメリットとして挙げられます。わずかな変化ですが、低速走行時や取り回しの際に、以前とは違うハンドリングに違和感を覚える場合があります。慣れるまでは、特にUターンなどで不安定さを感じる可能性があります。
タンクアップで問われる安全性

タンクアップカスタムは、見た目だけでなく安全性にも深く関わるため、細心の注意が必要です。正しい知識と技術がなければ、走行中に重大なトラブルを引き起こす危険性があります。
まず考えられるのが、タンクを固定するステーやボルトの強度不足です。安価なキットや自作のステーの場合、走行時の振動に耐えきれず、金属疲労によって破損するおそれがあります。万が一、走行中にタンクの固定が外れるようなことがあれば、大事故につながりかねません。ステーは十分な厚みを持つステンレスやスチール製を選び、ボルトは適切なトルクで確実に締め付けることが大切です。
次に、ハンドル操作への干渉です。タンクを上げたことで、ハンドルを左右いっぱいに切った際に、スイッチボックスやグリップがタンクに接触しないかを確認する必要があります。操作の妨げになる場合は、ハンドルの交換やライザーの調整が求められます。
加えて、燃料ホースや配線の取り回しにも注意が必要です。タンクアップによってホースや配線が無理に引っ張られたり、鋭角に折れ曲がったりすると、燃料漏れや断線、ショートの原因となります。長さが足りない場合は、適切な延長パーツを使用し、負荷のかからない自然な取り回しを心がけることが不可欠です。
48タンク容量アップは実用的か?

ハーレーのスポーツスターファミリーの中でも特に人気の高い「フォーティーエイト(48)」は、その小ぶりなピーナッツタンクがデザイン上の大きな特徴です。しかし、純正タンクの容量は約7.9リットルと非常に少なく、航続距離の短さがしばしば指摘されます。この問題を解決するために、タンク容量のアップを検討するオーナーは少なくありません。
容量をアップさせる最大のメリットは、言うまでもなく航続距離の延長です。例えば、12リットル程度のタンクに交換すれば、ツーリング中にガソリンスタンドを探す頻度が減り、より快適なロングライドを楽しめます。これは、実用性を重視するライダーにとって非常に大きな利点です。
一方で、デザイン面での変化は考慮すべき点です。フォーティーエイトの魅力であるコンパクトで引き締まったスタイルが、タンクの大型化によって少し重厚な印象に変わる可能性があります。オリジナルのスタイルを維持したいか、それとも実用性を優先するかは、オーナーの価値観次第と言えるでしょう。
また、大容量タンクへの交換は、単にタンクを載せ替えるだけでなく、取り付け位置の調整や加工が必要になる場合があります。そのため、信頼できるショップに相談するか、自身のモデルに適合するボルトオン設計のキットを選ぶことが、トラブルを避ける鍵となります。
ダサいと言われないハーレーのタンクアップ術
- DIYでのタンクアップのやり方
- タンクアップキットの賢い選び方
- 依頼する場合の工賃と費用
- タンクアップは車検に通るのか?
- 重要な整備とメンテナンス方法
- ハーレーのタンクアップがダサい評価の総括
DIYでのタンクアップのやり方

タンクアップをDIYで行うことは、コストを抑えつつバイクへの愛着を深める良い機会になります。しかし、正しい手順と工具、そして何より慎重な作業が求められます。
準備するもの
まず、基本的な工具(レンチセット、ドライバーなど)に加えて、タンクアップ用のステーとボルトが必要です。ステーは市販のキットに含まれるものか、ホームセンターで手に入る金属製の金具を加工して自作することも可能です。また、作業中の傷つき防止のため、タンクを置くための柔らかい布や毛布を用意しておくと安心です。
基本的な作業手順
- 燃料の抜き取りとタンクの取り外し: 安全のため、まずタンクからガソリンを抜き取ります。その後、燃料ホース、メーターやイグニッションの配線コネクターを慎重に外し、タンクを固定しているボルトを緩めて車体から取り外します。
- ステーの取り付け: 車両フレームの、元々タンクが固定されていたボルト穴を利用して、タンクアップ用のステーを取り付けます。このとき、左右の高さが均一になるように注意深く調整します。
- タンクの再設置と配線処理: ステーの上にタンクを載せ、ボルトで仮止めします。この段階で、タンク下に見える配線を整理します。配線チューブなどを使ってまとめ、フレームに沿わせて固定すると見た目がすっきりします。
- 本締めと最終確認: タンクの角度や位置が決まったら、全てのボルトを本締めします。最後に、燃料ホースや配線を元通りに接続し、ハンドルを左右に切ってタンクとの干渉がないか、入念に確認してください。
DIYは自己責任で行うカスタムです。少しでも不安を感じる場合は、無理をせずプロに依頼することをお勧めします。
タンクアップキットの賢い選び方

タンクアップを成功させるためには、自分のバイクと目指すスタイルに合ったキットを選ぶことが不可欠です。市場には様々なキットが存在するため、いくつかのポイントを押さえて慎重に選びましょう。
車種への適合を確認する
最も基本的なことですが、キットが自分のバイクのモデルと年式に適合しているかを必ず確認してください。スポーツスターとソフテイルではフレーム形状が異なるため、専用設計のキットでなければ正しく取り付けられません。
アップ量(高さ)で選ぶ
タンクアップの高さは、一般的に1.5インチから3インチ程度の範囲で設定されています。
- 1.5〜2インチ: 比較的手軽なカスタムで、タンク下の配線処理なども最小限で済むことが多いです。初めての方におすすめです。
- 2.5〜3インチ以上: よりアグレッシブな見た目になりますが、コイルの移設や配線の延長がほぼ必須となります。上級者向けのカスタムと言えます。
キットの内容と材質を吟味する
キットには、ステーとボルトだけのシンプルなものから、配線延長用のハーネスや詳しい説明書が付属する親切なものまであります。特にDIYに不慣れな方は、付属品が充実しているキットを選ぶと作業がスムーズに進みます。
また、ステーの材質も重要です。振動に強く、錆びにくいステンレス製や、十分な厚みを持つスチール製を選ぶことで、長期にわたって安心して使用することができます。ユーザーレビューなどを参考に、信頼性の高い製品を選ぶことが失敗しないための鍵となります。
依頼する場合の工賃と費用

タンクアップをプロのカスタムショップに依頼する場合と、DIYで行う場合の費用には差があります。それぞれのメリットとデメリットを比較し、自分に合った方法を選びましょう。
ショップに依頼する場合
カスタムショップに作業を依頼する場合、工賃の相場はおおよそ1万円から3万円程度が目安です。これには、ステーの取り付けや基本的な配線処理が含まれます。ただし、イグニッションコイルの移設や、複雑な配線の引き直しが必要になる場合は、追加で1万円から2万円ほどの工賃が発生することがあります。
この費用に加えて、タンクアップキット自体の部品代(5,000円~15,000円程度)が別途必要です。プロに任せる最大のメリットは、確実な作業による安全性と美しい仕上がりです。
DIYで行う場合
一方、DIYで作業を行う場合は、部品代のみで済むため費用を大幅に抑えられます。ホームセンターでステーやボルトを揃えれば、2,000円から5,000円程度で済むこともあります。ただし、作業に必要な工具を揃える初期投資がかかる場合もあります。
以下の表は、両者の特徴を比較したものです。
作業方法 | 費用の目安(合計) | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ショップ依頼 | 15,000円 ~ 50,000円 | ・仕上がりが綺麗で安全性が高い<br>・手間と時間がかからない | ・費用が高くなる傾向がある |
DIY | 2,000円 ~ 20,000円 | ・費用を安く抑えられる<br>・バイクへの理解が深まる | ・専門知識と工具が必要<br>・失敗のリスクが伴う |
費用だけでなく、安全性や仕上がりのクオリティも考慮して、総合的に判断することが大切です。
タンクアップは車検に通るのか?

タンクアップカスタムを施したバイクが車検に通るかどうかは、多くのライダーが気にするところです。結論から言うと、保安基準を遵守して正しく取り付けられていれば、タンクアップ自体が原因で車検に通らないということは基本的にありません。
車検でチェックされる主なポイント
検査官が確認するのは、主に以下の3点です。
- タンクの固定強度: タンクがボルトやステーで確実に車体に固定されているか。手で揺らしてみて、ぐらつきや緩みがないことが必須です。
- ハンドル操作への干渉: ハンドルを左右いっぱいまで切った際に、タンクやステーに接触しないか。安全なハンドル操作が確保されていることが求められます。
- 燃料漏れの有無: 燃料ホースの接続部分などから、ガソリンが漏れていないか。これは非常に厳しくチェックされる項目です。
これらの基準を満たしていれば、タンクアップした状態でも車検を通過することは可能です。
注意すべき点
ただし、DIYで作業した場合など、取り付けの甘さや配線処理の不備を指摘される可能性はあります。配線がフレームの角に擦れて被覆が剥がれていたり、燃料ホースが無理な角度で曲がっていたりすると、安全上の問題ありと判断されかねません。
また、極端なタンクアップによって車体の寸法(高さ)が規定値(±4cm)を大幅に超える場合は、構造変更の届け出が必要になるケースも理論上は考えられます。しかし、一般的なタンクアップの範囲であれば、寸法が大きく変わることは稀です。
不安な場合は、カスタムを依頼したショップや、ユーザー車検の相談窓口などで事前に確認することをおすすめします。
重要な整備とメンテナンス方法

タンクアップは一度行ったら終わりではなく、その後の定期的な整備とメンテナンスが非常に重要になります。カスタムによってノーマルとは異なる状態になっていることを常に意識し、点検を怠らないようにしましょう。
定期的なボルトの増し締め
ハーレーの大きな振動により、ボルト類は緩みやすい傾向にあります。特にタンクを固定しているステーのボルトは、定期的に緩みがないかを確認し、必要に応じて増し締めを行ってください。これを怠ると、走行中の異音や不安定さの原因となり、最悪の場合はタンクの脱落につながる危険もあります。
配線とホース類の点検
タンク下に通した配線が、フレームの角などに擦れていないか、被覆が摩耗していないかを定期的にチェックする習慣をつけましょう。配線の損傷は、電装系のトラブルやショートを引き起こす可能性があります。
同様に、燃料ホースやエア抜きのブリーザーホースに、ひび割れや硬化がないかも確認が必要です。タンクアップによって取り回しが変化しているため、ホースに余計な負担がかかっている場合も考えられます。異常を発見した場合は、早めに交換することが大切です。
これらの点検を洗車ごとやツーリング前に行うなど、自分なりのルールを決めておくことで、トラブルを未然に防ぎ、長く安全にカスタムを楽しむことができます。
ハーレーのタンクアップがダサい評価の総括
今回の記事をまとめます。
- タンクアップはハーレーの見た目を大きく変えるカスタム手法
- ダサいと言われる主な原因は全体のバランスが崩れていること
- タンクアップの理由はエンジンの造形美を強調し個性を出すため
- メリットは唯一無二のスタイルとメカニカルな印象の強調
- デメリットは重心の変化による操縦性への影響
- 燃料の有効容量が減少し給油頻度が増えることがある
- タンク下の配線処理を怠ると未完成な印象を与える
- ステーやボルトの強度不足は走行中の重大な事故につながる
- DIYはコストを抑えられるが専門知識と慎重な作業が不可欠
- タンクアップキットは車種適合とアップ量、材質で選ぶ
- ショップ依頼の工賃は1万円から3万円が目安だが内容は要確認
- 保安基準を満たせばタンクアップしたままでも車検は通る
- ハンドル操作への干渉や燃料漏れは車検で厳しく見られる
- カスタム後はボルトの増し締めなど定期的な整備が必須
- 全体の統一感を意識することがダサいと言われないための鍵