
今回の結論からお伝えします。
MVアグスタは「走る宝石」としての維持に相応の作法が必要です。
しかし、「電圧管理」と「冷却対策」を徹底し、履歴の確かな車両を選べば、故障リスクは十分にコントロール可能です。
MVアグスタのバイクって、見た瞬間に心奪われるような美しさがありますよね。
でも、いざ買おうかなと思って検索してみると、MVアグスタ 壊れるといった評判や故障の噂が目に入ってきて、不安を感じている人も多いはずです。
やっぱり維持費も高いのかなとか、中古で購入してすぐに壊れたらどうしようといった悩みは、私もすごくわかります。
レッドバロンなどの身近なショップで直せるのか、それとも特別な技術が必要なのかも気になるところですよね。
この記事では、そんな不安を解消するために、モデルごとの弱点や実際の維持コスト、後悔しないためのポイントを詳しく紹介していきます。
- 主要モデルごとに発生しやすい故障のメカニズムと具体的な症状
- 致命的なダメージを避けるために必要なメンテナンスと対策パーツ
- KTMとの提携解消による最新の経営状況とパーツ供給への影響
- 中古車選びで失敗しないためのチェックポイントと維持の心構え

執筆者:YARA
60代の現役ライダー。10代でバイクの「自由」に魅せられて以来、人生の半分以上を愛車と共に過ごす。ハーレーとドゥカティという、対照的な2台のオーナーとしての経験を活かし、高級バイクの魅力を多角的に分析。単なる情報の羅列ではなく、実体験に基づいた「正確で誠実な解説」をモットーに、読者の安全で豊かなバイクライフを支援します。→ 詳しいプロフィールはこちら
MVアグスタが壊れると言われる理由を深掘り
「走る宝石」と称えられるMVアグスタですが、なぜこれほどまでに故障のイメージが定着しているのでしょうか。
ここでは、オーナーを悩ませる代表的なメカニズムの弱点について、私が調べた内容を詳しく解説します。
F4 シリーズが抱える設計上の熱害

MVアグスタのフラッグシップであるF4シリーズ、特に1000ccクラスにとって最大の強敵は「熱」です。
マッシモ・タンブリーニが手がけたあの究極に美しいカウルデザインは、実は内部の熱を逃がすという点ではかなりタイトな設計になっているんですよね。
特に日本の都市部のようなストップ&ゴーが多い環境では、走行風が当たらないため、水温があっという間に上昇してオーバーヒートのリスクが高まります。
純正のプラスチック製冷却ファンは、過酷な熱にさらされるとブレードが変形してしまうこともあります。
そうなると冷却効率がさらに落ちるという悪循環に陥るため、多くのオーナーさんは対策を講じているのが実情です。
夏場に発生しやすいオーバーヒートの対策法

F4などのモデルでオーバーヒートを未然に防ぐには、もはや「必須の儀式」とも言えるカスタムが存在します。
それは、純正のプラスチックファンをアルミ製の高性能ファンへ交換することや、大容量のウォーターポンプへの換装です。
また、冷却水(クーラント)をより冷却性能の高いものへ変更することも効果的ですね。
「信号待ちで水温計から目が離せない」というストレスを減らすためには、こうした初期投資が結果的にエンジンを守ることにつながります。
まさに、宝石を美しく保つためのメンテナンスと言えるかもしれません。
F3の故障・ドラッグスター・ブルターレの傾向

3気筒エンジンを搭載するF3、ドラッグスター、ブルターレの800ccシリーズにおいて、最も注意が必要なのがエンジン内部のトラブルです。
一部の車両では、バルブスプリングの不具合からバルブが脱落する「バルブドロップ」という深刻な事象が報告されています。
バルブドロップが発生すると、ピストンやシリンダーヘッドに致命的なダメージを与え、エンジンが全損してしまう可能性があります。
メーカー側も改良を進めていますが、走行距離が1万キロ前後でも発生した例があるため、定期的な点検は欠かせません。
また、後輪を支えるリアハブベアリングの耐久性も課題の一つで、ここが焼き付くと走行不能になるため、特殊なグリスアップによるメンテナンスが重要です。
スプラグクラッチの不具合を防ぐ始動のコツ

MVアグスタの「持病」として有名なのが、始動時にスターターの力を伝えるスプラグクラッチ(ワンウェイクラッチ)の故障です。
エンジンをかけようとした時に「ガガッ」という激しい異音がしたり、空回りしたりする場合は、この部品の寿命を疑う必要があります。
実はこの故障、バッテリーの電圧低下が引き金になることが多いんです。
電圧が低い状態でセルを回すと、クラッチに過大な負荷がかかって破損を早めてしまいます。
対策としては、常にバッテリー充電器(テンダー)を接続して満充電を保つこと。
また、エンジンを止める際はキーオフではなく、キルスイッチでシャットダウン・シーケンスを完了させることが、次回の始動性を高め、スプラグクラッチを守るコツだと言われています。
突然の故障を招く電装系の不具合と管理

イタリア車全般に言えることかもしれませんが、電装系は非常にデリケートです。
MVアグスタはECUやイモビライザーによる待機電力の消費が激しく、数日間乗らないだけでバッテリーが上がってしまうことも珍しくありません。
電圧が不安定になると、各種センサーが誤作動を起こし、メーターにエラー表示が出たりエンジンチェックランプが点灯したりすることもあります。
完璧な電圧管理こそが、電装系トラブルを回避する最大の防御策です。
ガレージにコンセントがあるなら、常時充電は必須と考えたほうがいいでしょう。
リコール履歴の確認と適切な対応手順

もし中古で購入を検討しているなら、その車両が「過去のリコールをすべて実施済みかどうか」を確認することは絶対に外せません。
国土交通省の届出によると、Brutale800 Dragster RRに関するリコールが公表されています。
一部の車両でリヤホイールのスポークの締結力が不足しており、そのまま使用を続けると走行時の振動でスポークが緩む可能性があります。
最悪の場合、走行安定性を損なうおそれがあるため注意が必要です。
| 確認方法 | 内容 |
|---|---|
| 車体番号の照会 | MVアグスタ公式サイトの「Recall Campaigns」でVIN(17桁)を入力して対象か確認/国土交通省のリコール届出情報に記載の「対象車台番号」の範囲と照合 |
| ディーラー履歴 | 正規販売店のオンラインシステムに残っている整備記録を確認 |
未実施のリコールがある場合は、速やかに正規ディーラーに相談しましょう。
こうした手続きを一つずつクリアしていくことが、安心して走りを楽しむための第一歩になります。
MVアグスタが壊れる不安を解消する維持方法
アグスタを維持するには、日本車とは異なる「作法」が必要です。
ここでは、気になるお金の話やサポート体制、そして最新のメーカー事情について私なりにまとめてみました。
維持費はなぜ高い?修理コストが高額になる理由

MVアグスタの維持費がなぜ高いと言われるのか、その理由は主に3つあります。
「高額な指定パーツ」「専門的な工賃」「頻繁な点検サイクル」です。
例えば、オイル交換一つとっても、高性能な100%化学合成油が指定されており、フィルター込みで数万円かかるのは当たり前。
さらに、12,000kmごとの大規模点検では、バルブクリアランスの調整や専用診断機によるアップデートが必要になり、10万円単位の予算が必要になります。
YARA年間の維持費は、タイヤやブレーキパッドなどの消耗品を含めると、20万円〜40万円程度は見込んでおくと安心です。
レッドバロンでの整備とサポートの実態


全国展開しているレッドバロンは、MVアグスタの購入窓口として非常に身近な存在ですよね。
独自の保証制度や「ACIDM(アシダム)」による車体計測など、中古車を購入する際のリスクを減らしてくれる強みがあります。
ただ、店舗によってイタリア車の整備に精通したメカニックがいるかどうかに差がある、という声も耳にします。
特殊なパーツの取り寄せに時間がかかったり、複雑な電子制御の診断ができる設備がその店舗にない場合、修理期間が長引く可能性もあります。
近隣の店舗がどこまで対応可能か、事前に店長さんや工場長さんに相談しておくのが賢明ですね。
MVアグスタの経営は?どうなる?最新の動向


ここ数年、MVアグスタの経営は大きな転換期を迎えていました。
経営体制の変遷
一時はKTM AG(PIERER Mobility AG傘下)が資本参加し、グループ入りする動きがありました。
- 2022年11月: KTMが25.1%の株式を取得。
- 2024年春: KTMが50.1%まで出資比率を引き上げ、経営権を掌握。
- 2025年: KTM側の財務状況悪化に伴い、体制が再編されました。1月に株式譲渡の合意がなされ、2025年7月9日をもって取引が完了。
現在は「Art of Mobility S.A.」が100%の株式を保有しており、再び独立した経営体制に戻っています。
オーナーへのサポート体制(パーツ供給と拠点)
経営権の移行に伴い、オーナーが最も懸念する「アフターサービス」については以下の通り公表されています。
- パーツ在庫: 過去7年前までのモデルを対象に、「99%の在庫率」を維持(2024年実績)。
- 販売網: 世界219拠点(うちサービス拠点41)で展開中。2025年内には270拠点まで拡大予定です。
- 物流システム: 当面はKTMの物流ネットワークと連携してパーツを供給しますが、2025年末までには独自のパーツ供給体制へ移行する方針です。
経営権が二転三転しましたが、現在は独立ブランドとしての歩みを再開しています。
ブランド独自の美学を追求しながら、懸念されていたサポート体制も着実に強化されている状況です。
失敗しない中古車両の選び方と注意点


中古のMVアグスタを選ぶ際は、見た目の綺麗さ以上に「整備記録」がすべてです。
正規ディーラーのスタンプが押されたメンテナンスノートがあるか、バルブクリアランスやハブの整備がいつ行われたかを細かくチェックしましょう。
個人売買や、整備履歴が不明な格安車両には手を出さないのが無難です。
安く買えても、直後の故障で修理代が購入価格を上回る「安物買いの銭失い」になるリスクが高いからです。
また、前オーナーがどのようにバッテリーを管理していたかを確認できれば、電装系の健康状態を推測する良い材料になりますよ。
所有を後悔しないためのオーナーの心得


MVアグスタを手放して後悔する人の多くは、故障そのものよりも「修理待ちの長さ」に耐えられなくなる傾向があります。
イタリアからパーツを寄せるのに数ヶ月かかることも珍しくなく、シーズンを棒に振ってしまうこともあるからです。
このバイクを「日常の移動手段」として考えると、その繊細さにストレスを感じるかもしれません。
あくまで「特別な日に、特別な体験をするための芸術品」と割り切り、修理期間さえも宝石を磨き上げる時間として楽しめる心の余裕を持つことが、長く付き合う秘訣かなと思います。
MVアグスタが壊れる不安を超えた先の魅力
ここまで色々と厳しい現実も書いてきましたが、それでもなおMVアグスタが愛されるのは、唯一無二の官能的な走りがあるからです。
長く付き合うためのポイントをまとめると、以下のようになります。
- F4はファン交換など冷却系の対策を最優先にしましょう。
- F3系はエンジンの定期点検とハブの整備が重要です。
- 電圧管理を徹底し、高額なクラッチ故障を未然に防ぎましょう。
- 年間の維持予算は20万〜40万円ほど見込むのが安心です。
- 2026年からの独立新体制でサポート面も強化中です。
- 中古車は安さより正規店の整備履歴を最優先で確認。
- 芸術品と割り切り、修理待ちも楽しむ心の余裕が不可欠。
MVアグスタが壊れるという不安は、適切なメンテナンスと信頼できるショップ選び、そして電圧管理という「作法」さえ守れば、コントロールできるものです。
正確な情報は公式サイトや正規ディーラーで必ず確認していただきたいのですが、最後は自分の「このバイクに乗りたい」という情熱が勝るかどうかが重要です。
手間はかかりますが、それ以上の感動を与えてくれるのがMVアグスタというバイク。
皆さんも、覚悟と愛情を持って、この美しい宝石を公道で輝かせてみませんか?







