ドゥカティ モンスター696中古相場|弱点と選び方を解説

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中古バイク販売店に展示された赤いドゥカティ・モンスター696と、整備履歴を重視した中古選びを伝えるタイトル文字

こんにちは、ラグジュアリー・モーターサイクルのヤラです。

少し前、那覇の中古バイク店に立ち寄ったとき、赤いモンスター696が目に留まりました。

ガレージにいる私のモンスター900とは違って、車体がすっきりしていて、街中でも気軽に乗れそうな雰囲気。値札を見ても手が届きそうで、思わず欲しくなったんです。

ただ、気になったのは整備の履歴でした。タイミングベルトの交換時期を尋ねると、店の方の返事は「前のオーナーが交換したと聞いています」。記録簿は残っていませんでした。

バッテリーは新しくなっていたものの、充電系を点検した記録も見当たりません。迷ったすえに、その696は見送ることにしました。

696は、初めてのドゥカティにもぴったりの一台です。だからこそ、値段の安さだけで選んでほしくないんですね。

今回は、空冷モンスターに乗り続けている私の目線で、中古相場と弱点、そして失敗しにくい個体の選び方をお話しします。

この記事でわかること
  • モンスター696の中古相場と支払総額
  • 年式ごとの違いと狙い目
  • 購入前に確認したい弱点
  • 初めてでも選びやすい個体の条件
目次

ドゥカティのモンスター696とは

まずは、モンスター696がドゥカティの中でどんな立ち位置のバイクなのかを見ておきましょう。ここを知っておくと、中古車の値段にも納得がいくはずです。

第2世代モンスター最初の一台

モンスター696は、2008年に登場した第2世代モンスターの最初のモデルです。1993年の初代モンスター900から数えて、実に15年ぶりのフルモデルチェンジでした。

生産は2014年まで続き、その間ずっとモンスターシリーズの入り口を担ってきました。日本での新車価格は99万8,000円。輸入の大型バイクとしては、かなり思い切った値付けです。

エンジンは空冷のL型2気筒。ドゥカティ伝統のデスモドロミックを使っていて、バルブをバネではなくカムで閉じるため、高い回転まで正確に動いてくれます。

最高出力は80馬力。数字だけ見ると控えめに思えるかもしれません。それでも、公道では交通の流れを余裕でリードできるだけの瞬発力があります。

見た目も初代から大きく変わりました。マフラーはシート下から左右2本出しになり、燃料タンクは樹脂のカバーをかぶせる構造に。外装パネルを替えれば色を変えられるのも、この世代ならではです。

歴代モンスターの中で696がどの位置にいるのか知りたい人は、「ドゥカティ モンスター歴代モデルの世代別の違いと中古選び」もあわせて読んでみてください。

軽さと足つきが初心者に響く理由

ドゥカティ・モンスター696にまたがり、両足を地面に着けて足つきと乗車姿勢を確認する50代の日本人男性

696を語るうえで外せないのが、乾燥重量161kgという軽さです。国産の250〜400ccクラスとほぼ同じ重さに、80馬力のLツインを積んでいるわけですね。

シート高は770mm。L型2気筒は車体の真ん中を細く作れるので、数字以上に足が地面に届きやすいんです。平均的な体格の男性なら、両足のかかとまでべったり着きます。

身長153cmほどの小柄な女性でも、両足のつま先が着くという声があるほど。取り回しやUターンで立ちゴケの不安が小さいのは、大型バイクが初めての人にとって大きな安心材料でしょう。

さらに、クラッチにはAPTCと呼ばれる湿式のスリッパークラッチが付いています。レバーが驚くほど軽く、シフトダウンのときに後輪が跳ねるのも抑えてくれる仕組みです。

私のモンスター900は乾式クラッチなので、渋滞が続くと左手がじわじわ疲れてきます。それだけに、696の軽いクラッチは正直うらやましいポイントなんです。

軽い車体、低いシート、軽いクラッチ。この3つがそろっているからこそ、696は大型バイクに慣れていない人でも「乗ってみよう」と思える一台になっています。

696とプラスやABS仕様の違い

モンスター696には、装備の違いでいくつかの仕様があります。中古車情報を見るときに戸惑わないよう、主なものを表にまとめました。

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仕様主な特徴新車価格の目安
モンスター696カウルを持たない基本の仕様。燃料タンクは15.0L99万8,000円
モンスター696+ヘッドライト上の小さなカウルと、外せるシングルシートカウル付き約103万〜105万円
696+ ABSほか2010年モデルから追加。燃料タンクは13.5L、乾燥重量163kg109万円(696+ ABS)
20th Anniversary2013年のモンスター誕生20周年を記念した特別仕様特別価格

ABS付きはタンクカバーの下にABSの装置を収めるため、燃料タンクが15.0Lから13.5Lに減り、重さも2kg増えています。それでも、雨の多い沖縄で乗るなら、私はABS付きを選びたいですね。

プラスに付く小さなビキニカウルは、見た目の飾りとしては素敵です。ただ、風よけの効果はほとんど期待できないので、高速道路が多い人はそこを割り切っておきましょう。

年式ごとの違いと狙い目の考え方

696は生産期間を通してエンジンこそ変わっていませんが、乗りやすさに関わる改良が少しずつ加えられています。どの年式を選ぶかで、またがったときの印象がけっこう違うんです。

2010年と2012年が大きな分かれ目

年式ごとの主な変更点は、次の表のとおりです。

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年式主な変更点
2008〜2009年初期型。レバーの位置は調整できず、ハンドルが低く遠い
2010年クラッチとブレーキのレバーが4段階で調整可能に。ABS仕様を追加
2011年フロントフォークがマルゾッキ製に。グラブレールを付けやすい形に変更
2012年ハンドル位置が20mm上がり、前傾姿勢がゆるやかに
2013〜2014年20周年記念モデルを設定。2014年はカヤバ製フォークとABSが標準

なかでも大きいのが、2012年のハンドル位置の変更です。上位の796と同じ部品に変わり、ハンドルが20mm高くなりました。

たった2cm、と思うかもしれません。でも初期型の前傾はスポーツバイク並みに深く、696で一番不満が集まっていたのがここ。街乗りやツーリングでの疲れ方は、かなり変わってきます。

手の小さな人には、2010年以降のレバー調整機能もありがたいはずです。指が届きやすくなるだけで、ブレーキやクラッチの操作に余裕が生まれますから。

年式より整備履歴を優先したい理由

ドゥカティ・モンスター696が置かれた整備工場の作業台に広げられた整備記録簿と交換履歴の領収書

ここまで読んで「それなら2012年以降を買えばいい」と感じた人もいるでしょう。その気持ち、よくわかります。ところが、話はそう単純ではありません。

一番新しい2014年式でも、生まれてから10年以上がたっています。いまの696の調子を決めているのは、年式よりも前のオーナーがどう手入れしてきたかなんです。

例えば、ベルトやバルブまわりをきちんと整備してきた2009年式と、何年も放置されていた2013年式。私なら、迷わず前者を選びます。

ゴムのベルトやホース、オイルシールは、走っていなくても年月とともに硬くなります。走行距離が少ないのに値段が安い個体ほど、長い放置期間が隠れていないか気にしたいところです。

ハンドルの高さは、あとからアップハンドルなどで変えられます。けれど、放置された年月は部品を替えない限り取り戻せません。あなたなら、どちらを優先しますか?

モンスター696の中古相場と総額の目安

ここからは、実際の中古車の値段を見ていきます。車両本体の価格だけでなく、乗り出すまでにいくらかかるかまで押さえておくのが、失敗しないコツです。

販売店とオークションの価格帯

中古車検索サイトや販売店の掲載車、ネットオークションの落札結果を見比べると、だいたい次のような価格帯に収まっています。

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買い方価格の目安特徴
販売店(車両本体)約40万〜64万円走行2.8万km前後で40万円ほど、低走行の696+は60万円台も
販売店(支払総額)約49万〜77万円納車整備の内容で、同じ車でも20万円以上変わることがある
ネットオークション約16万〜41万円平均は27万円前後。整備や保証は基本的に付かない
買取相場上限31万円前後20万〜25万円が中心。5万kmを超えると大きく下がる

大型のドゥカティとしては、かなり手が届きやすい価格帯です。新車の約100万円から考えると、半額前後で探せる個体も多いんですね。

まずは中古バイクの検索サイトで、地域を広げて在庫を眺めてみてください。何台か見比べるうちに、極端に安い車や高すぎる車に気づけるようになります。

オークションの安さは魅力です。とはいえ、整備の状態がわからないまま買うのは、初めての人にはおすすめしにくいかなと思います。

購入後にベルト交換やバルブ点検が重なれば、結果的に販売店で買うより高くつくこともあり得ます。

ドゥカティの中古がなぜここまで値下がりするのか気になる人は、「ドゥカティの中古が安い理由と賢い選び方」で背景をくわしく解説しています。

中古の価格は、在庫の状態や時期によって大きく動きます。表の金額はあくまで目安と考えて、気になる個体を何台か見比べてから判断してください。

支払総額に含まれる納車整備の中身

中古車を選ぶとき、私が一番気にするのは「支払総額に何が含まれているか」です。

実際に、支払総額49万円ほどの696が、点検整備を含めた価格では72万円台になる例がありました。その差は、なんと20万円以上です。

安い総額の中には、仕入れたままの状態に車検と登録の費用だけを足した現状販売の車も混じっています。ぱっと見の安さに飛びつく前に、整備の範囲を確かめておきましょう。

確認したいのは、オイルとフィルター、ブレーキフルード、タイヤ、チェーンとスプロケットの交換。そして何より、タイミングベルトの交換とバルブクリアランスの点検が入っているかどうかです。

見積もりを並べて、「整備込みの総額」で比べる。たったこれだけで、買ったあとに慌てて財布を開く事態はかなり防げます。

認定中古車の対象外になる年式

ドゥカティには、正規販売店が品質を確かめた「Ducati Approved」という認定中古車の制度があります。保証やロードサービスまで付く、頼もしい仕組みです。

ただし対象になるのは、新車登録から6年未満で、走行5万km未満のバイクだけ。最終型の2014年式でも、696はこの制度から外れてしまいます。(出典:ドゥカティ公式サイト『Ducati Approved(認定中古車)』)

制度の条件は見直されることもあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。いずれにしても、696は一般の中古車店か、ドゥカティを扱う専門店で探すことになります。

つまり、お店選びそのものが「保証の代わり」になるということ。販売店独自の保証が付くか、付くならどこまでが対象かも、購入前にひと言聞いておくと安心です。

購入前に知りたい696の弱点

モンスター696は「イタリア車だからすぐ壊れる」というバイクではありません。何年もトラブルなく乗り続けているオーナーもいます。

とはいえ、生産から年数がたった今だからこそ、気をつけたい箇所はあります。優先度の高いものから順に見ていきましょう。

タイミングベルトは時間でも傷む

ドゥカティ・モンスター696のエンジンで露出したタイミングベルトとプーリー、交換のために取り外した古いベルト

最優先で確認したいのがタイミングベルトです。ドゥカティはゴム製のベルトでカムを回していて、696もその仕組みを受け継いでいます。

交換の目安は、2万kmごとか2年ごと。ゴムは走らなくても年月で硬くなり、ひびが入っていきます。走行距離が少ないから安心、とは言い切れないんです。

万が一ベルトが切れると、ピストンとバルブがぶつかってエンジンが壊れてしまいます。修理代は20万〜30万円を超えることもあり、696の中古車がもう1台買えそうな金額です。

一方で、交換費用は部品代と工賃で4万〜8万円ほど。こうして比べると、交換時期のわからない個体を選ぶ怖さが見えてくるはずです。

ヤラ

「前のオーナーが替えたらしい」は記録とは言えません。日付と距離が書かれた記録簿か領収書がなければ、納車時の交換を前提に予算を組んでください。

バッテリーと充電系の不調

696は、バッテリーと発電の容量にあまり余裕がない作りです。そのため、セルの回りが重い、エンジンがなかなかかからない、といった症状が出やすい傾向があります。

やっかいなのは、原因がバッテリーだけとは限らない点。発電した電気を整えるレギュレーターや、充電系の配線、コネクターの不具合が隠れていることも多いんです。

那覇で見かけた696も、バッテリーは新品に替わっていました。でも、充電系を点検した記録はなし。バッテリー交換だけで症状が隠れている可能性もあるので、私はそこが引っかかりました。

車体の中は配線やホースがぎっしり詰まっていて、センサーや端子の不調で警告灯が点くこともあります。原因を探るには専用の診断機が必要なので、ドゥカティに慣れたお店の力が欠かせません。

初期型プラスのリコールも確認

2008年に輸入された初期の696プラスの一部(310台)には、電装まわりのリコールが出ています。メインハーネスがリヤシリンダーのフィンに当たって傷むおそれがある、という内容です。

傷みが進むと、メーターが表示されない、ライトやウインカーが点かない、エンジンが止まって再始動できない、といった症状につながりかねません。(出典:国土交通省『リコール届出一覧表(外-1684)』)

対策を受けた車には、フレームヘッドの左側に「外-1684」のステッカーが貼られます。初期型を検討するなら、ステッカーの有無と対策の記録を販売店に確かめておきましょう。

バルブクリアランスとオイル漏れ

デスモドロミックは、バルブを強制的に開け閉めする精密な仕組みです。そのぶん、バルブクリアランスと呼ばれるすき間を、定期的に点検して調整してあげる必要があります。

メーカー指定の目安は、1万2,000〜2万kmごとか2年ごと。調整しないまま放っておくと、エンジンのかかりが悪くなったり、本来の力が出なくなったりします。

もうひとつ見ておきたいのが、オイルのにじみです。エンジンの合わせ面やカバーまわり、ホースやオイルフィルターの周辺は、年数とともににじみが出やすい場所なんです。

うっすら湿っている程度のにじみと、地面にポタポタ落ちる漏れとでは、意味がまるで違います。現車を見るときは、エンジンの下をのぞき込んで、地面の跡も確かめてください。

長く放置された車では、燃料ポンプの不調や、発進時にクラッチが細かく震える症状、ギアの入りにくさが出ることもあります。

フロントフォークのオイル漏れも、よくある症状のひとつ。どれも試乗と目視である程度わかるので、遠慮せず確かめましょう。

低速のギクシャクと夏の熱さ

夏の那覇市街地で赤信号を待つドゥカティ・モンスター696と、暑さの中で停車している50代の日本人男性ライダー

乗り味のクセも知っておきたい点です。696は2,000〜2,500回転より下だと爆発の間隔が粗く、車体が前後に揺さぶられるようなギクシャク感が出ます。

スロットルを戻したときのエンジンブレーキも、かなり効くタイプ。街中でのシフトダウンや再加速は、慣れるまで少し気を使うかもしれません。

ただ、3,000〜6,000回転に入ると表情ががらりと変わります。時速60〜70kmで流すと、空冷Lツインらしい「ドコドコ」という鼓動と、乾いた機械の音が心地いいんです。

夏の熱さも覚悟しておきたいところ。マフラーがシートの下を通るので、渋滞では座面や左の太ももの内側に熱が伝わってきます。真夏の那覇の信号待ちは、正直なかなかの試練です。

ドゥカティの熱との付き合い方は、「ドゥカティは燃える?噂の真相と熱対策・維持費」でくわしく書いています。

前傾姿勢とシート形状のクセ

足つきはいいのに、走り出すと姿勢が意外ときつい。これが696でよく聞く不満です。特に2011年までのモデルは、ハンドルが低く遠く、上体をぐっと前に倒す姿勢になります。

シートが前下がりで、タンクの手前が壁のように立ち上がっているのもクセのひとつ。ブレーキのたびにお尻が前に滑り、タンクとシートのすき間に体が押しつけられがちです。

シートが低いぶんステップとの距離も近く、背の高い人は膝の曲がりが窮屈に感じるかもしれません。購入前に実際にまたがって、数分ほど姿勢を確かめておきたいですね。

696のシート下にはほとんど収納がありません。タンクが樹脂製なのでマグネット式のタンクバッグも使えず、ETCの置き場所やバッグ選びには少し工夫が必要です。

初めてでも失敗しにくい個体の選び方

弱点がわかったところで、実際にお店で個体を選ぶときの手順をお伝えします。見るポイントを決めておけば、初めてのドゥカティでも落ち着いて判断できます。

記録簿で見るべき整備項目

まず手に取りたいのが、整備記録簿と領収書です。私が必ず見るのは、次のような項目です。

  • タイミングベルトの交換時期
  • バルブクリアランスの点検記録
  • バッテリーと充電系の点検
  • オイルとフィルターの交換
  • ブレーキフルードとタイヤの年数
  • チェーンとスプロケットの状態

日付と走行距離が書かれた記録が続いている個体は、前のオーナーが大事にしてきた証でもあります。逆に記録がまったくない場合は、整備費を多めに見込んでおきましょう。

以前、900SSから851に乗り換えたとき、私は整備費の違いに本当に驚きました。同じドゥカティでも、整備の中身ひとつで出ていくお金は大きく変わるんです。

それ以来、記録のない車には慎重になりました。那覇で696を見送ったのも、この経験があったからです。

現車確認は冷えた状態から

中古バイク販売店でドゥカティ・モンスター696のスタータースイッチを操作し、冷間始動とメーターの状態を確認する50代の日本人男性

現車を見に行くなら、エンジンが冷えた状態からかけさせてもらうのがおすすめです。セルが力強く回り、すっと目を覚ますかどうか。ここに電装や燃料系の調子が表れます。

事前に温めてあると、始動の不調が隠れてしまうことがあります。来店前に「冷えた状態で見たい」と伝えておけば、お店も準備しやすいはずです。

アイドリングが落ち着いたら、メーターの警告灯やライト、ウインカーがすべて正しく動くかも確かめます。試乗できるなら、低い回転でのギクシャクの程度や、ギアの入り方も見ておきたいですね。

フレームやスイングアームの傷、サビも要チェック。転倒の跡がないかは、ハンドルの端やステップの先を見るとわかりやすいですよ。

購入後も相談できる販売店を選ぶ

696選びで最後に効いてくるのが、お店選びです。私がいちばん大事にしたいのは、買ったあとの整備まで相談できるかどうか。

デスモの調整やベルト交換、電装の診断は、ドゥカティに慣れた整備士と専用の診断機があってこそ。国産車の感覚で近所のお店に持ち込むと、断られたり時間がかかったりすることもあります。

購入するお店でそのまま整備を任せられるなら理想的です。難しい場合でも、ドゥカティの正規ディーラーには認定を受けた整備士がそろっています。(出典:ドゥカティ公式サイト『Dealer Network』)

近くの正規ディーラーやドゥカティ専門店を、購入前に探しておくだけでも安心感が違います。

多少高くても、整備の中身を説明してくれて、購入後も気軽に相談できるお店の一台。私が696を買うなら、そういう選び方をします。

ヤラ

お店で「この車、次のベルト交換はいつで、いくらかかりますか?」と聞いてみてください。すぐに答えが返ってくるお店は、ドゥカティに慣れている証拠です。

購入後の維持費と整備の予算

696は消耗品の費用こそ控えめですが、ドゥカティならではの定期整備でまとまった出費がやってきます。どのくらいを見ておけばいいのか、目安をお伝えします。

定期整備と車検費用の目安

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項目目安のサイクル費用の目安
エンジンオイル交換3,000kmごと1万円以上
タイミングベルト交換2万kmごとか2年ごと4万〜8万円ほど
バルブクリアランス点検・調整1万2,000〜2万kmごとか2年ごとお店や作業内容で大きく変わる
タイヤ交換摩耗や年数に応じて約2.6万〜6.2万円
車検2年ごと7万〜15万円ほど(重整備で20万円超)

車検は、基本の点検だけなら3万円台からでも通せます。ただ、ベルト交換やバルブ調整、タイヤ交換が重なる年は、10万〜20万円を超えることも珍しくありません。

だから私は、購入時の予算とは別に、購入後1年以内の整備費として10万〜15万円ほど取り分けておくことをおすすめしています。記録のない個体なら、もう少し多めでもいいくらいです。

燃費は市街地で1リットルあたり20km前後、ツーリングなら28kmほど走ることもあります。燃料はハイオク指定ですが、大型の2気筒としてはかなり家計にやさしい部類でしょう。

なお、整備の費用や内容は、お店や車両の状態によって大きく変わります。購入予定の販売店で見積もりを取り、最終的な判断はドゥカティに詳しい整備士に相談してください。

最初にそろえたい手入れ用品

自宅ガレージに置かれたドゥカティ・モンスター696と、チェーンクリーナー、チェーンルブ、バッテリー充電器などの日常整備用品

納車されたら、日ごろの手入れで調子を保っていきましょう。まずそろえたいのは、チェーンクリーナーとチェーンルブ。チェーン駆動の696は、こまめな清掃と注油で寿命が延びます。

次におすすめなのが、バッテリーをつないでおける充電器です。充電系に余裕の少ない696は、短い距離ばかり乗っていると充電が追いつきません。

保管中に充電器をつないでおくだけでも、始動の安心感はまるで違ってきます。

空冷エンジンなので、熱に配慮したエンジンオイル選びも大切です。オイル交換を自分でやるなら、フィルターレンチやオイル受けもあると便利ですね。

こうした用品は、通販サイトで696に合うものを探せば手軽にそろいます。購入前に、年式や型式に適合するかどうかだけは必ず確かめてください。

ヤラ

夏の那覇では、私はモンスター900のオイル交換を早めにしています。空冷の696も同じで、消耗品をケチらないことが長く乗るいちばんの近道です。

弱点を和らげる定番カスタム

696には、クセを和らげる定番のカスタムがいくつかあります。全部やる必要はありませんが、気になる点があれば候補に入れてみてください。

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気になる点定番の対策
低速のギクシャクとエンジンブレーキクランクケースの内圧コントロールバルブ
ブレーキの効き始めが甘い社外のブレーキパッドへの交換
前傾姿勢がきついアップハンドルや2012年以降の純正ライザー
足つきをもっと良くしたいローシートやシートのあんこ抜き
左の太ももが熱いヒートガードの追加

なかでも効果がわかりやすいのが、内圧コントロールバルブです。エンジンブレーキの急な効き方や、再加速のときのギクシャクがなめらかになり、街乗りがかなり楽になります。

純正のブレーキパッドは、握り始めの効きがじわっとした味付けです。初心者には安心な反面、スポーツ走行を楽しみたい人は社外パッドに替えると、ブレンボ本来の効きを引き出せます。

マフラーを替えるなら、車検に対応した製品を選ぶのが無難です。例えばアエラの車検対応マフラーなら、純正の燃料マップのまま乗れるとされています。

796や後継モデルとの比べ方

696を検討していると、見た目がそっくりな796や、後継の797・821も気になってくるはずです。それぞれ、どんな人に向いているのかを比べてみます。

796との違いは足つきと余裕

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項目モンスター696モンスター796
排気量696cc803cc
最高出力80馬力87馬力
シート高770mm800mm
乾燥重量161kg169kg
スイングアーム両持ち式片持ち式
後輪タイヤの幅160mm180mm
新車価格の目安約100万円約120万円

796は排気量が大きく、中低速の力に余裕があります。高速道路を使ったツーリングが多いなら、796のほうが楽に感じる場面は多いでしょう。

一方で、シートは30mm高く、車体も8kg重くなります。市街地での取り回しや足つきの安心感では、696がはっきり上です。

見分け方は簡単で、後ろのスイングアームが両側にあれば696、片側だけなら796。ホイールも696は3本スポークです。中古車の写真で迷ったら、ここを見てください。

797や821を選ぶほうがいい人

後継の797や水冷の821は、エンジン制御が進化していて、2,000回転以下の低速でもほとんどギクシャクしません。発進や右左折での気楽さは、696とは別物です。

ただ、中古の相場は696の1.2倍以上になることが多く、シート下2本出しのマフラーや荒々しい空冷の鼓動も味わえません。

低速での扱いやすさを何より優先したいなら、797や821。軽さと手頃な価格、空冷Lツインらしい味を楽しみたいなら696。私はこんなふうに考えています。

上位の1100系は、日本の街中ではパワーを持て余しがちです。乾式クラッチの半クラッチにも気を使うので、公道で80馬力を使い切る楽しさを求めるなら、696は理にかなった選択だと思います。

あなたが休日に走りたいのは、街の中ですか?それとも遠くの峠道でしょうか。その答えが、選ぶべきモデルを教えてくれるはずです。

モンスター696の中古選びの疑問

最後に、モンスター696の中古を検討している人からよく聞かれる質問にお答えします。

モンスター696の中古に関するよくある質問(FAQ)

Q1. モンスター696は大型バイク初心者でも乗れますか?

A. 乗れると思います。乾燥重量161kgの軽さ、770mmの低いシート、軽いクラッチがそろっていて、取り回しや立ちゴケの不安は大型バイクの中でも小さいほうです。ただ、低速でのギクシャクや前傾姿勢には少し慣れが必要なので、購入前に実際にまたがって確かめておくと安心です。

Q2. モンスター696の中古はいくらくらいで買えますか?

A. 販売店では車両本体で40万〜60万円台、支払総額で50万〜70万円台がひとつの目安です。ネットオークションでは20万円台の落札も多く見られます。ただし、支払総額は納車整備の内容で20万円以上変わることもあるため、整備込みの金額で比べてください。

Q3. 中古のモンスター696で一番注意したい弱点は何ですか?

A. 一番はタイミングベルトです。2万kmごとか2年ごとの交換が目安で、切れるとエンジンが壊れて20万〜30万円以上の修理になることもあります。あわせて、バッテリーと充電系、バルブクリアランスの点検記録、オイルのにじみも確かめておきましょう。

Q4. モンスター696を選ぶなら何年式がおすすめですか?

A. 乗りやすさを重視するなら、ハンドル位置が20mm上がった2012年以降が候補になります。手の小さい人には、レバーの位置を調整できる2010年以降もおすすめです。ただ、今は年式より整備履歴のほうが調子を左右するので、記録のしっかりした個体を優先してください。

Q5. モンスター696の維持費は年間どのくらいかかりますか?

A. 乗り方で変わりますが、オイル交換などの消耗品に加えて、2年ごとの車検やタイミングベルト交換といった定期整備がかかります。車検は7万〜15万円ほどが一般的で、整備が重なると20万円を超えることもあります。購入後1年以内の整備費として、10万〜15万円ほど別に用意しておくと安心です。

Q6. モンスター696と796はどちらを選ぶべきですか?

A. 街乗りや足つきの安心感を重視するなら696、高速道路を使うツーリングが多いなら796が向いています。796は87馬力で力に余裕がある一方、シートが30mm高く、車体も8kg重くなります。体格と走る場所を思い浮かべて選ぶのがいちばんです。

Q7. 女性や小柄な人でもモンスター696の足つきは大丈夫ですか?

A. ドゥカティの中では、足つきがとても良いモデルです。身長153cmほどの女性でも両足のつま先が着き、片足ならしっかり支えられるという声があります。それでも不安があれば、ローシートやシートのあんこ抜きで調整する方法もあります。

モンスター696の中古選びのまとめ

モンスター696は、軽さと足つきの良さ、軽いクラッチで、初めてのドゥカティにも選びやすい一台です。中古相場も手頃になり、空冷Lツインの鼓動を身近に味わえるようになりました。

今回のポイントを、最後にまとめておきます。

今回のまとめ
  • 乾燥161kgとシート高770mmの軽快さ
  • 2012年以降はハンドルが20mm高い
  • 販売店の支払総額は50万〜70万円台
  • 総額は納車整備の中身で大きく変わる
  • 最優先はタイミングベルトの交換記録
  • バッテリーと充電系の点検も必須
  • 購入後の整備費まで予算に入れる
  • 整備を相談できる販売店で選ぶ

那覇で出会ったあの赤い696は、今でもときどき思い出します。それでも見送ったのは、ベルトの記録と充電系の状態がわからなかったから。今振り返っても、あの判断は間違っていなかったと思っています。

年式や走行距離の数字だけで決めず、整備の記録と、買ったあとに頼れるお店まで含めて選ぶ。そうすれば、696はきっと長く付き合える相棒になってくれます。

あなたにぴったりの一台に出会えることを、那覇から願っています。

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