
こんにちは、ラグジュアリー・モーターサイクルのヤラです。
フォーミュラ73を初めて見たとき、思わず手が止まりました。シルバーのタンクに、細身のカウル。
以前乗ったスポーツクラシック1000を、すぐに思い出したんです。こういう昔のドゥカティを感じさせるデザインには、今でも目がありません。
価格は税込203万円で、世界873台の限定生産。最初は「これは欲しくなるな」と素直に思いました。
でも、ガレージにある916を眺めているうちに、少し冷静になったんです。62歳になった今、916の前傾姿勢がきつくて、乗る回数がめっきり減っています。
フォーミュラ73もセパレートハンドルですから、見た目に惚れただけで決めるわけにはいきません。
今回は、国内価格と乗り出し総額、発売時期や買い方、ベースのスクランブラーとの違いまで、オーナー目線でお話しします。
203万円を出す価値があるのか、一緒に考えていきましょう。
- 国内価格と乗り出し総額の目安
- 発売時期と予約・抽選の実情
- スクランブラーとの価格差と装備差
- 限定車として長く持つ価値と注意点
フォーミュラ73の価格と乗り出し総額
まずは、いちばん気になる価格の話から始めます。車両価格だけでなく、実際に払う総額や海外との差も見ておくと、203万円という数字の重みがつかみやすくなりますよ。
国内の車両価格は税込203万円
フォーミュラ73の国内価格は、税込2,030,000円です。発表直後から、全国のドゥカティ正規販売店がこの価格で案内を始めました。
ちなみに、ドゥカティ・ジャパン公式サイトの製品ページには、価格の表示がありません。そのため、ネット上では「価格は未発表」とする記事もまだ見かけます。
実際には、正規販売店のブログやSNSで税込203万円とはっきり公表されています(出典:ドゥカティ浜松『Formula73.発表! Ducati world premiere2026』)。
発表前には、限定車だから250万円前後になるのでは、という予想もありました。ふたを開けてみれば200万円ちょっと。正直、私も少し拍子抜けしたくらいです。
世界限定の記念車としては、かなり手の届く値付けと言えるでしょう。とはいえ、ベースのスクランブラーと比べると話は変わってきます。
その点は、後の章でくわしく見ていきますね。
国内価格は税込203万円です。公式サイトの製品ページには価格の表示がないため、価格や受付状況は正規販売店で直接確かめるのが確実です。
乗り出し価格は約218万円が目安
バイクを買うときに払うのは、車両価格だけではありません。登録の手続きや納車前の整備、自賠責保険などの諸費用が上乗せされます。
フォーミュラ73単体の乗り出し価格は、メーカーから一律には示されていません。そこで、同じ803ccのスクランブラーの諸費用を参考にしてみましょう。
スクランブラーを正規販売店で新車登録した場合、諸費用はおよそ14.3万円が一つの目安です。これを足すと、乗り出し価格は約217万〜218万円になります。
| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 車両本体価格 | 2,030,000円 | 消費税10%込み |
| 登録・納車整備などの諸費用 | 約143,000円 | 同じ排気量の実績から推計 |
| 乗り出し価格の目安 | 約2,173,000〜2,180,000円 | オプションや遠方への配送費は別 |
このほか、ETCの取り付けやバイクカバー、ロック類をそろえると、もう数万円は見ておいたほうが安心です。限定車だからこそ、防犯用品は最初から予算に入れておきたいところ。
任意保険も忘れずに。車両保険まで付けるかどうかで、年間の保険料はかなり変わってきます。
海外価格と比べた日本の値付け
フォーミュラ73は世界で同時に発表されたモデルです。国ごとの価格を並べてみると、日本の値付けの特徴がよく見えてきます。
| 国・地域 | 現地価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 日本 | 2,030,000円 | 消費税込み・諸費用別 |
| イタリア | 16,000ユーロ | 付加価値税込み |
| ドイツ | 15,890ユーロ〜 | 付加価値税込み |
| イギリス | 15,095ポンド | 付加価値税込み・登録費別 |
| アメリカ | 19,995ドル | 州税・販売店の諸費用別 |
為替によって変わりますが、ユーロやドルの価格を円に直すと、日本の203万円は低めに見えます。しかも、アメリカの19,995ドルは税や諸費用を含まない金額なんです。
もちろん、国によって税金の仕組みや販売店の利益の乗せ方は違います。単純に「日本が安い」と言い切れるわけではありません。
それでも、欧米のライダーより手の届きやすい価格で買えるのは、日本のファンにとってうれしい話でしょう。ただし、日本に割り当てられた台数はごくわずかと言われています。
ライバルの限定カフェレーサーとの比較
同じように「限定」と「カフェレーサー」をうたうライバルと比べると、フォーミュラ73の立ち位置がはっきりしてきます。
| 車種 | 国内価格(税込) | 限定台数 | 排気量・最高出力 |
|---|---|---|---|
| ドゥカティ フォーミュラ73 | 2,030,000円 | 世界873台 | 803cc・73PS |
| トライアンフ スピードツイン1200 カフェレーサーエディション | 2,519,000円 | 世界800台 | 1,200cc・105PS |
| BMW R 12 S | 2,977,000円 | 国内200台 | 1,170cc・109PS |
こうして並べると、フォーミュラ73は約49万〜95万円も安い計算です。そのかわり、排気量も馬力もひと回り小さいのが正直なところ。
一方で、車重は183kgとライバルより30kg以上も軽く仕上がっています。
速さで勝負するのではなく、軽さと空冷Lツインの鼓動を味わうバイク。そう考えると、この価格の意味がつかみやすいかなと思います。
限定873台の発売時期と購入方法
限定873台と聞くと、「もう買えないのでは」と心配になりますよね。ここでは、発表から納車までの流れと国内での予約や抽選の実情、今から手に入れる方法をお話しします。
発表から納車までの流れ
フォーミュラ73は、ドゥカティ創業100周年の節目となる2026年2月12日に世界初公開されました。オンラインの発表会「ドゥカティ・ワールド・プレミア」での披露です。
メーカーの発表では、まず2026年春に欧州の販売店へ入荷。ほかの地域には、同じ年の夏の終わりまでに届ける予定とされていました。
日本では、発表の翌日から各地の正規販売店が予約受付を告知しています。販売店に問い合わせた人の話では、国内の納車は秋ごろと案内されていたようです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1972年 | 750イモラ・デスモがイモラ200マイルで優勝 |
| 1973年 | 750スーパースポーツ・デスモが登場 |
| 2024年 | 原型となるコンセプト車「CR24I」を公開 |
| 2026年2月 | フォーミュラ73を世界初公開 |
| 2026年春 | 欧州の販売店へ入荷開始 |
| 2026年夏の終わりまで | ほかの地域へ順次出荷 |
コンセプト車の段階から数えると、市販まで2年ほど。発表を待ち望んでいたファンが多かったのも、早い時期に予約が集まった理由のひとつでしょう。
正規販売店での予約と抽選の実情

国内では、ドゥカティ浜松やドゥカティ埼玉南、ユーメディア湘南バイクモールなど、多くの正規販売店が発表直後に予約の受付を始めました。
どの店も「早期完売が予想される」と呼びかけていたのが印象的です。
販売の方法は、お店によって違いがありました。先着順の予約だけでなく、日本への割り当てが少ないことから抽選販売と案内された例もあります。
海外でも人気は高く、インドでは国内向けの割り当てがすべて予約で埋まり、受付を締め切ったと報じられました。
こうした事情から、「欲しい」と思った時点で動けた人が有利だったのは間違いありません。私のように写真を眺めて悩んでいるうちに、受付が終わってしまった店もあったはずです。
ヤラ限定車の予約は、まず販売店に電話して「何台入るのか」「抽選か先着か」を聞くのが近道です。台数が分かるだけで、気持ちの踏ん切りもつきやすくなりますよ。
今から手に入れる方法はあるか
では、今から新車のフォーミュラ73を手に入れるのは無理なのでしょうか。可能性はゼロではありませんが、かなり狭き門だと考えてください。
キャンセルや追加入荷を販売店に相談する
抽選に当たった人が、資金の都合などで購入を辞退することはあります。そうした枠が回ってくるかどうかは、日ごろから付き合いのある販売店かどうかで変わることも。
まずは近くの正規販売店に、キャンセル待ちを受け付けているか聞いてみましょう。複数の店に同時に声をかけるときは、そのことを正直に伝えておくのがマナーです。
中古車として出てくるのを待つ
もうひとつの道は、中古車として市場に出てくるのを待つ方法です。国内の中古車サイトでは、まだ在庫がほとんど見当たりません。
出てきたとしても、新車価格を上回る値段が付く可能性は高いでしょう。後で触れるとおり、欧州ではすでに新車より高い出品例も見られます。
個人売買やネットオークションで限定車を買うときは、シリアル番号と証明書がそろっているかの確認が欠かせません。書類が欠けた車両は、価値が大きく下がるおそれがあります。
限定車ならではのフォーミュラ73の特徴
フォーミュラ73の魅力は、台数の少なさだけではありません。ここでは、外観へのこだわりや付属品、エンジンと電子制御まで、限定車としての中身を見ていきます。
750スーパースポーツを再現した外観

フォーミュラ73のお手本は、1973年に登場した750スーパースポーツ・デスモです。ドゥカティで初めてデスモドロミック機構を積んだ市販ロードバイクでした。
多くのコレクターが「ドゥカティの歴史でもっとも重要な一台」と呼ぶ名車なんです。
その原点が、1972年のイモラ200マイルレースで1位と2位を独占した750イモラ・デスモ。乗っていたのは、ポール・スマートとブルーノ・スパッジャリでした。
フォーミュラ73のシルバーとアクアグリーンの配色は、ドゥカティのデザインセンターが社内の資料を調べ直して再現したものです。フレームまで、水色がかったグリーンに塗られています。
私がいちばんぐっときたのは、タンクを縦に走る金色の帯でした。
これは、当時のレーサーがタンクの一部をあえて塗らずに残し、外から燃料の残りを確かめていた工夫を今の形で再現したもの。こういう由来を知ると、眺める時間がさらに楽しくなります。
セパレートハンドルにバーエンドミラー、細く絞ったカウルと短いテール。どこから見ても、昔のカフェレーサーの空気をまとっています。
シリアル番号と専用ボックスの価値
限定車らしさを一番感じるのが、ハンドルの付け根にある削り出しのステアリングプレートです。ここにモデル名と、873台のうち何台目かを示すシリアル番号が刻まれています。
さらに購入者には、真正証明書と当時の写真の複製、デザインセンターのスケッチを収めた専用ボックスが渡されます。
このボックスや証明書は、将来手放すときの価値を大きく左右するもの。私なら、車両の書類と一緒に湿気の少ない場所で大切に保管します。
803ccデスモデュエと最新の電子制御
エンジンは、803ccの空冷Lツイン「デスモデュエ」です。最高出力は73馬力(8,250回転)、最大トルクは65.2Nm(7,000回転)と発表されています。
数字だけを見ると、今どきの大型バイクとしてはおとなしめ。でも、低い回転からドコドコと湧き出すトルクは、街中や峠道でちょうど気持ちいい力加減なんです。
見た目はクラシックでも、中身はしっかり現代のバイクになっています。
車体の傾きを読み取るコーナリングABSに、トラクションコントロール、上下どちらにも使えるクイックシフターまで標準装備です(出典:ドゥカティ公式サイト『Formula 73』)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| エンジン | 空冷L型2気筒・デスモドロミック・2バルブ |
| 排気量 | 803cc |
| 最高出力 | 73hp(53.7kW)/8,250rpm |
| 最大トルク | 65.2Nm/7,000rpm |
| 装備重量(燃料除く) | 183kg |
| シート高 | 808mm |
| 燃料タンク容量 | 14.5L |
| 燃費(メーカー公表値) | 5.2L/100km |
| メーカー保証 | 24か月・走行距離無制限 |
燃費はメーカー公表値で100kmあたり5.2Lなので、1Lあたりに直すと約19km。タンク容量と合わせると、満タンで計算上は280km弱が目安です。
実際の街乗りでは、もう少し短くなると考えておきましょう。ツーリング先では、早め早めの給油が安心です。
オーナー限定のヘルメットとジャケット
フォーミュラ73には、車体と同じ配色のヘルメットとレザージャケットも用意されています。どちらも、車両の購入者向けの限定品と案内されているものです。
ヘルメットはアライ製をベースにしたフルフェイス。ジャケットはダイネーゼとの共同開発で、体の寸法に合わせて仕立てるオーダーメイド限定のモデルなんです。
ジャケットの欧州価格は1,973.69ユーロからとされています。国内の円価格は公表されていないので、気になる人は販売店で見積もりをもらいましょう。
ドゥカティの公式ローンには、車両と一緒にヘルメットやジャケットを組み込めるプランもあります。総額が大きくなりやすいので、支払いの計画は早めに立てておくと安心です。
ベース車スクランブラーとの価格差と装備差
フォーミュラ73の土台は、第2世代のスクランブラーです。同じエンジンを積む兄弟車と比べて、価格差に見合う中身があるのかを確かめていきましょう。
アイコンより65万円高い理由
現行のスクランブラーで基本となる「アイコン」は、税込138万円です(出典:スクランブラー・ドゥカティ公式サイト『Icon』)。
クラシックな装いの「ナイトシフト」は159万円。ほかのグレードも並べてみると、フォーミュラ73の位置づけがよくわかります。
| 車種 | 国内価格(税込) | フォーミュラ73との差 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| スクランブラー アイコンダーク | 1,230,000円 | 80万円安い | 黒を基調にした入門グレード |
| スクランブラー アイコン | 1,380,000円 | 65万円安い | シリーズの基本グレード |
| スクランブラー フルスロットル | 1,590,000円 | 44万円安い | テルミニョーニとクイックシフター付き |
| スクランブラー ナイトシフト | 1,590,000円 | 44万円安い | スポークホイールとバーエンドミラー |
| 10° アニバーサリオ リゾマエディション | 1,804,000円 | 約23万円安い | リゾマ製パーツ付きの記念車 |
| フォーミュラ73 | 2,030,000円 | ― | 世界873台の限定車 |
アイコンとの差は65万円、ナイトシフトとの差は44万円です。
この差額には、専用の外装や足回り、テルミニョーニ製サイレンサー、リゾマ製パーツ、クイックシフターの標準装備などが含まれています。
さらに、シリアル番号入りのプレートや証明書付きのボックスといった「限定車としての付加価値」も上乗せされています。部品の値段だけでは測れない部分ですね。
海外の掲示板では、「スクランブラーの着せ替えにしては高すぎる」という厳しい声も見かけます。
その気持ちもわかります。それでも私は、差額の中身を知ったうえで判断すれば、決して無茶な値付けではないと感じました。
前17インチ化で変わった車体の性格

見た目の違い以上に大きいのが、車体の作り込みです。スクランブラーは前輪が18インチで、未舗装の道も走れるような設計になっています。
これに対してフォーミュラ73は、前輪を17インチのスポークホイールに変更。キャスター角を24度から22度に立て、トレールも108mmから92mmへと短くしています。
ホイールベースも1,449mmから1,434mmへ詰められました。言ってみれば、同じ骨格のまま、舗装路の峠道向けに体の使い方を変えたようなイメージです。
| 項目 | スクランブラー(アイコン系) | フォーミュラ73 |
|---|---|---|
| 前輪サイズ | 18インチ | 17インチ(スポーク) |
| キャスター角 | 24° | 22° |
| トレール | 108mm | 92mm |
| ホイールベース | 1,449mm | 1,434mm |
| シート高 | 795mm | 808mm |
| ハンドル | アップハンドル | セパレートハンドル |
数字の変化からすると、ハンドルの切れ込みが素直になり、狙ったラインに乗せやすくなっているはずです。その一方で、アップハンドルの気楽さは失われました。
ベース車のスクランブラーそのものが気になる人は、「ドゥカティのスクランブラーで後悔しやすい点とは?」も参考にしてみてください。
夏場のエンジンの熱さや維持費など、フォーミュラ73にもそのまま通じる話を書いています。
専用装備を単品でそろえた場合の目安
「スクランブラーを買って、あとからパーツを付ければ同じでは?」と考える人もいるでしょう。そこで、主な専用装備を単品で買った場合の目安を見てみます。
スクランブラー用のテルミニョーニ製スリップオンマフラーは、単品でおよそ12万〜18万円。リゾマ製のタンクキャップだけでも、3万〜4万円ほどします。
ここにレバーやステップ、ミラー、クイックシフターの後付け費用を足すと、それだけで数十万円の出費です。
しかも、前輪の17インチ化や専用カウル、フレームの色は、パーツの交換では再現できません。ここが、後付けカスタムとの決定的な違いなんです。
フォーミュラ73の購入前に確かめたい注意点
ここからは、見た目に惚れた勢いで決める前に知っておきたい注意点です。私自身の経験や反省も交えながら、正直にお伝えします。
セパレートハンドルの前傾姿勢

フォーミュラ73は、低い位置にあるセパレートハンドルを採用しています。カフェレーサーらしさの要ですが、そのぶん上半身はどうしても前に傾きます。
私のガレージには916がありますが、62歳になった今、あの前傾姿勢がきつくて乗る回数がめっきり減りました。手首と首、腰にじわじわ効いてくるんです。
フォーミュラ73は、ベースがスクランブラーなので916ほど過激な姿勢ではないと言われています。車重183kg、シート高808mmと、車体も軽くて小柄です。
それでも、アップハンドルのスクランブラーと同じ気楽さを期待すると、きっと戸惑うはず。あなたが普段どんな距離を、どんな道で走っているかを思い浮かべてみてください。
ヤラ前傾のきつさは、展示車に数分またがっただけでは分かりません。できれば試乗車で30分ほど走り、降りた後の手首や腰の具合まで確かめてください。
角型メーターとカスタムの制約
海外のオーナーやファンの間でよく話題になるのが、メーターのデザインです。スクランブラーと同じ4.3インチの角型カラー液晶が、そのまま使われています。
見やすくて機能も十分ですが、1970年代の雰囲気を大事にしたい人には「ここだけ今風すぎる」と感じるかもしれません。
写真だけで判断せず、実車でメーターまわりの見た目も確かめておきたいところです。
もうひとつは、カスタムの自由度。前のカウルは車体全体のバランスを考えて作り込まれているため、外したり社外品に替えたりすると、まとまりが崩れやすくなります。
そもそも限定車は、純正のまま乗るほど価値を保ちやすいもの。カスタムを楽しみたい人は、外した純正部品をすべて保管しておく前提で考えましょう。
維持費とデスモサービスの目安
エンジンや車体の基本はスクランブラーと共通なので、維持費もほぼ同じ水準になります。メーカーが示すバルブクリアランス調整の間隔は、12,000kmごとです。
私は以前、900SSから851に乗り換えたとき、整備にかかる手間と費用の違いに驚いたことがあります。
空冷2バルブから水冷4バルブに変わっただけで、ショップに預ける日数も請求書の金額も、ひと回り大きくなったんです。
その点、フォーミュラ73は比較的手のかからない空冷2バルブのデスモデュエ。それでも国産車と同じ感覚でいると、車検やタイミングベルトの交換で驚くことになるでしょう。
| 年間走行距離 | 年間維持費の目安 |
|---|---|
| 年間3,000km | 約12万〜22万円 |
| 年間5,000km | 約15万〜25万円 |
| 年間10,000km | 約22万〜38万円 |
この金額には、税金や保険、車検、オイル交換、タイヤ、ベルト交換の積み立てなどを含めています。駐車場代やローンの返済は別なので、そこも足して考えてください。
あまり乗らない時期は、バッテリー充電器をつないでおくだけでも始動のトラブルがぐっと減ります。バイクカバーやチェーン用の潤滑剤など、日ごろの手入れ用品も手元にそろえておくと安心です。
限定車ならではの盗難リスク
シリアル番号入りの限定ドゥカティは、海外では窃盗団に狙われやすいと言われています。
916や998S、デスモセディチRRといった過去の限定車でも、盗難にあったオーナーの体験談がたびたび共有されてきました。
873台しかないバイクは、盗まれたら同じものを買い直すのはまず無理です。保険で戻ってくるのはお金だけで、シリアル番号の付いた一台は取り戻せません。
だからこそ、シャッター付きのガレージや地面に固定するロック、バイクカバーなど、盗ませない対策を最初から用意しておきたいもの。
保険で備えるかどうかは、「バイク盗難保険が必要かどうかの判断基準」でくわしく書いています。203万円の限定車を守る方法を考えるときの参考にしてください。
ヤラ限定車の写真をSNSに載せるときは、背景に自宅やガレージの場所が分かるものが写っていないか、投稿する前に必ず確かめるようにしてください。
長く所有する価値と売却時の相場
限定車を買うなら、「将来どれくらいの価値が残るのか」も気になるところでしょう。過去の限定ドゥカティの相場や欧州での初期の動きから、見通しを考えてみます。
過去の限定ドゥカティの相場推移
参考になるのが、2000年に世界2,000台限定で出たMH900eと、2006年に登場したポールスマート1000LEです。どちらも1970年代の名車をモチーフにした限定車でした。
| 車種 | 当時の新車価格 | 現在の国内相場 |
|---|---|---|
| MH900e | 15,000ユーロ(約160万円) | 買取平均で約167万〜186万円 |
| ポールスマート1000LE | 189万円 | 買取平均で約166万〜195万円 |
| 750スーパースポーツ(1974年型) | 3,500ドル(米国) | 国内の業者間で1,506万円の落札例 |
MH900eもポールスマートも、発売から20年以上たっても、新車価格と同じかそれ以上の水準で取引されています。普通のバイクなら、とっくに半値以下になっている年数です。
そして、フォーミュラ73のルーツである750スーパースポーツは、わずか401台の生産。
海外のオークションでは、日本円にして1,600万円台から3,000万円前後で取引されることもある、まさに雲の上の存在になりました。
スポーツクラシックやポールスマートについては、「ドゥカティのスポーツクラシックの魅力と中古車選び」でもくわしく紹介しています。
フォーミュラ73と同じく、1970年代の750シリーズを今の技術で作り直した仲間です。
欧州で見えた新車超えの出品例
欧州では、春から納車が始まったぶん、早くも中古車が出回り始めています。イタリアの二輪メディアでは、シリアル番号178番の個体が中古車として紹介されました。
さらにミラノでは、走行123kmの個体が18,000ユーロで個人出品されています。本国の新車価格16,000ユーロより、2,000ユーロ(約12.5%)高い値付けです。
もちろん、出品した価格でそのまま売れたとは限りません。
それでも、納車が始まってすぐに新車を上回る値段が付いたのは、限定車としての注目度の高さを物語っています。
フォーミュラ73の873台は、2,000台限定だったMH900eの半分以下です。台数の少なさは、将来の相場を支える材料のひとつになると考えられます。
値上がり目当ての購入はすすめない
ここまで読むと、「買っておけば値上がりするのでは」と思うかもしれません。でも、私は値上がりを当てにした購入はおすすめしません。
過去の限定車も、ずっと一直線に上がってきたわけではないんです。景気や流行で相場が下がる時期もありますし、保管の状態が悪ければ価値は簡単に落ちます。
それに、乗らずに飾っておくだけでも、バッテリーやタイヤ、ゴム部品は年数とともに傷んでいきます。
手入れの費用と手間を考えると、投資として割に合うかどうかは誰にもわかりません。
フォーミュラ73は、乗って眺めて楽しむためのバイク。売るときの値段は「残っていたらうれしいおまけ」くらいに考えておくのが健全かなと思います。
フォーミュラ73が向いている人
最後に、フォーミュラ73がどんな人に合うのか、私自身が買うならどう判断するのかをお話しします。203万円を出すかどうか、あなたなりの物差しづくりに役立ててください。
向いている人と見送るべき人
私が考える「フォーミュラ73が合う人」は、空冷Lツインの鼓動と、昔のドゥカティの姿にときめく人です。速さよりも、走り出す前にガレージで眺める時間まで楽しめる人ですね。
一方で、長い距離のツーリングが中心の人や、荷物をたくさん積みたい人には不向き。二人乗りが多い人も、別の車種を検討したほうが幸せになれるでしょう。
| 向いている人 | 見送ったほうがいい人 |
|---|---|
| 空冷Lツインの鼓動が好き | 長距離ツーリングが中心 |
| 短い距離を濃く楽しみたい | 前傾姿勢で体がつらい |
| 純正のまま大切に乗れる | カスタムを存分に楽しみたい |
| 保管場所と防犯にお金をかけられる | 屋外にしか置き場所がない |
迷ったときは、限定車という肩書きをいったん外して考えてみてください。それでも「このバイクに乗りたい」と思えるなら、きっと後悔しにくい選択になるはずです。
私なら203万円をこう判断する

もし私が購入するなら、まずベースとなるスクランブラーとの価格差と装備の違いを、販売店で一つずつ確認します。
差額の65万円に何が含まれているのか、自分の言葉で説明できるまで聞くつもりです。
そのうえで、実際にまたがってから判断します。916で味わった前傾のつらさがあるので、ハンドルまでの距離と、降りたあとの体の具合は必ず確かめたいんです。
限定番号が付いているのは、もちろん大きな魅力。でも、最後の決め手はそこではありません。
10年後もガレージで眺めていたいと思えるか。私にとっては、そこが203万円を出すかどうかの分かれ目です。
あなたにとっての決め手は何でしょうか。価格、台数、デザイン、乗り味。どこに一番心が動くかを考えると、答えは自然と見えてくると思います。
ヤラ限定車ほど「今決めないと」と焦りがちです。私は契約の前にひと晩置き、翌朝もう一度「欲しい」と思えたら動くと決めています。
フォーミュラ73の価格に関するよくある質問(FAQ)
Q1. ドゥカティ フォーミュラ73の日本での価格はいくらですか?
A. 国内の車両価格は税込2,030,000円です。登録や納車整備などの諸費用を加えた乗り出し価格は、同じ803ccのスクランブラーの実績から考えると約217万〜218万円が目安です。オプションや防犯用品の費用は別に見ておきましょう。
Q2. フォーミュラ73は何台限定で、いつ発売されましたか?
A. 世界873台の限定生産で、2026年2月12日に世界初公開されました。欧州では2026年春から納車が始まり、ほかの地域へも同年の夏の終わりまでに届ける予定と発表されています。国内の正規販売店では、発表直後から予約や抽選の受付が行われました。
Q3. 今からでもフォーミュラ73を新車で買えますか?
A. 日本への割り当てはごくわずかで、多くの販売店では早い段階で受付が埋まったとみられます。ただ、キャンセルなどで枠が空くこともあるので、近くの正規販売店に問い合わせてみてください。正確な販売状況は、正規販売店やドゥカティ公式サイトでご確認ください。
Q4. ベースのスクランブラーとは何が違うのですか?
A. エンジンやフレームの基本はスクランブラー800と共通ですが、前輪を17インチのスポークホイールにして車体の寸法を見直しています。さらに専用カウルとセパレートハンドル、テルミニョーニ製サイレンサー、リゾマ製パーツ、クイックシフターを標準で備え、シリアル番号と証明書も付きます。
Q5. 専用のヘルメットやジャケットだけを買うことはできますか?
A. アライ製をベースにしたヘルメットと、ダイネーゼ製のオーダーメイドのレザージャケットは、車両を購入したオーナー向けの限定品と案内されています。単品での一般販売は基本的にないと考えてください。価格や注文方法は販売店で確認しましょう。
Q6. フォーミュラ73に乗るにはどの免許が必要ですか?
A. 排気量が803ccなので、大型自動二輪免許が必要です。車重183kg、シート高808mmと大型バイクとしては軽くて小柄ですが、セパレートハンドルで前傾姿勢になるため、購入前に一度またがって確かめることをおすすめします。
まとめ:フォーミュラ73は所有価値で選ぶ
フォーミュラ73は、750スーパースポーツの面影を今の技術でよみがえらせた、世界873台の特別なドゥカティです。税込203万円という価格は、限定の記念車としては手の届きやすい水準と言えます。
ただ、台数の少なさだけで飛びつくのはもったいない。ベース車との差額の中身や、自分の体と使い方に合うかまで確かめてこそ、満足できる一台になります。
- 国内価格は税込203万円
- 乗り出し総額は約218万円が目安
- 2026年2月発表・世界873台限定
- 国内は予約や抽選で販売された
- アイコンより65万円高い専用仕様
- 前17インチ化で舗装路向けの車体
- セパレートハンドルで前傾はきつめ
- 値上がり目当ての購入は避ける
私にとってフォーミュラ73は、「欲しい」と「乗れるか」のあいだで、今も心が揺れている一台です。
10年後もガレージで眺めていたいか。その問いに迷わずうなずけるなら、203万円はきっと高くない買い物になるでしょう。
価格や販売状況、装備の内容は変わることがあります。最終的な判断は、正規販売店のスタッフなど専門家にも相談したうえで決めてくださいね。
